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「財産管理委任契約」を活用すべき具体例などポイント解説

目次


1,高齢、ケガ、病気などにより外出が困難になるという不安

最近、コロナ禍によって外へ出る機会が減り足腰が弱くなってきた・・・ケガをしてからというもの出掛けるのが何だか大変になってきた・・・手が不自由で文字が書けない・・・など、加齢に伴う衰えや、ケガ・病気などにより日常生活で必要な様々な手続きが困難な方は多くいらっしゃると思います。

 

そういう状況になったとき、身近にサポートしてくれる家族がいればお願いして代わりに行ってくれるかもしれません。しかしそうは言っても毎回だと気を使ってしまい頼めない、事情があってお願いできない等々、いずれにしても今後の生活面において不安を抱えておられる方も多いはずです。

 

物事の判断能力はあっても、身体的に不安のある方や今後の備えとして、そのような日常生活における様々な手続きを委任して代理で行ってもらえる契約があるのをご存知でしょうか。

 

それを「財産管理委任契約」といいます。任意代理契約とも言われたりします。

 

2,財産管理委任契約の内容は自由に決められる

財産管理契約で委任する内容は、公序良俗に反することは当然NGですが基本的に自由に設定することができます。寝たきりのような状況であれば生活の様々なケースを想定して多くの内容を盛り込めます。今はまだ自分でできることも多いので、委任範囲を狭く限定したものを望めば、それも可能です。また、報酬に関しても自由に設定することができます。

 

「財産管理契約」での委任内容としては、大きく財産管理療養看護の2つに分かれます。

 

財産管理とは、委任者(ご本人)の財産を受任者(ご家族や第三者など)が適切に管理することを言います。具体例を挙げると、金融機関からの預貯金の引き出し家賃や光熱費の支払い税金の納付保険の契約や解約保険金の請求などがあります。

 

療養看護とは、医療や介護、福祉サービスなど、委任者の心身を保護するために必要な事務手続き全般を指します。入院・退院時の手続き介護保険の要介護認定の申請介護サービスの契約手続きや解除支払いなどがこれにあたります。

 

委任したいものをピックアップし、委任者・受任者双方で内容を決めていきます。委任事項は日常的な預貯金の管理や支払い等の委任にとどめておいて、不動産の処分といった重大な事項については、その都度、個別に委任する(委任状を書く)方法もよいでしょう。

 

3,自由な契約だからこそ安全面を担保できる設計

財産管理委任契約は成年後見制度とは違い、契約通りちゃんと実行されているかを監督する公的な機関がありません。なぜなら、財産管理委任契約は、民-民の契約であり、判断能力が低下していない人を対象としたものだからです。そのため、履行状況の監督は委任者に委ねられています。

 

しかし、委任者による監督には限界があり、現実に財産管理委任契約を悪用した事件も残念ながら発生しています。

 

そこで重要なのは、契約の履行状況を監督する第三者を交えた契約書を作成するということです。受任者と委任者の他に、第三者を交えた契約書を作成することで、契約の安全を担保することができるからです。

 

この場合の第三者としては、中立的な立場で監督業務を行なってくれる信頼できる人が考えられますが、適任者がいない場合には、行政書士、弁護士、司法書士など法律の専門家への依頼することも選択肢の一つとなります。

専門家が受任者となり、その受任者が委任者だけではなくそのご家族に対しても契約の履行状況を報告する内容を契約に盛り込んでおくのも、有益な対策となります。

 

4,任意後見契約と組み合わせるのが最善です

財産管理等委任契約」と「任意後見契約」を併せて契約すると安心です。

先にご説明したように「財産管理等委任契約」は判断能力はあるけれども身体が不自由で出歩けない場合の話でした。それでは実際に認知症などになってしまった時はどうするのでしょう。財産管理契約は判断能力がある時の契約ですので失効してしまいます。

 

そこで本人の判断能力がしっかりしているうちに、もし認知症になった時に備えて将来後見人になってくれる人を決めておく「任意後見契約」を結んでおく場合が実務的には多いです。

 

財産管理等委任契約と任意後見契約は「移行型」として併せて契約する時は公正証書で1枚の契約書に盛り込んで作成します。

 

そうすれば判断能力に問題はないが身体が不自由である時は「財産管理等委任契約」で対応できますし、もしその後で認知症などで判断能力が減退した時にはすぐに「任意後見契約」に移行することができるからです。

 

►財産管理契約だけしか結んでいない場合

 

将来、もし認知症などになった場合、その時点で法定後見を申し立てることになります。しかし法定後見人を決定する家庭裁判所の審判まで手続きに数ケ月かかるため、その間本人の代理をすることができなくなってしまいます。

 

►任意後見契約しか結んでいない場合

 

認知症などにより本人の判断能力が低下してから任意後見契約をスタートさせるまで、手続きまで数か月かかります。その間、判断能力を低下させている本人の保護が不十分になることが考えられます。財産管理契約から「移行」できればその間の不安定な状態を解消することができます。

 

5,財産管理委任契約を活用して頂きたい方

これまでご紹介した内容をふまえ、財産管理委任契約を活用して頂きたい方を具体的に挙げてみたいと思います。当てはまる方は参考にいて頂ければ幸いです。

  • 高齢になり体力が衰えてきて財産管理を自分でするのが不安
  • 病気やケガで外出が難しくなった
  • 手が不自由で文字が書けない
  • 寝たきりになったなど、銀行関係、医療福祉関係、不動産関係などの手続きができない
  • 遠方に住む高齢の親御さんを心配されるご子息様

6,「財産管理委任契約」のまとめ

  • 財産管理委任契約は判断能力はあるけど身体の自由が制限されている方をサポートする契約です。
  • 契約内容は主に財産管理療養看護に関する内容に分けられます。
  • 具体的な内容報酬自由に設定することができます。
  • 第三者を交えるなど安全面を担保できる設計にしましょう。
  • 任意後見契約と併用することで、財産管理委任契約の効果が増大します。

財産管理委任契約なら当事務所へご相談ください

当事務所は、京都市を中心に関西全域で、生前の相続対策の支援をしている行政書士事務所です。遺言書の作成や財産管理委任契約、任意後見契約、死後事務委任契約、尊厳死宣言書など様々な角度からご本人様やご家族様が安心できる人生を送って頂けるようなご提案をさせていただきます。まずはご希望やお困りごとなど、お話しをじっくりと伺いたいと思います。お気軽にご相談ください。

案件によっては税理士や司法書士などの他士業とも連携しながらご相談者様の希望を形にいたします。

 

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最後までお読みくださり、ありがとうございました。

 

行政書士はやし行政法務事務所

代表行政書士 林 宏雄

 

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