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高齢者・おひとりさまの為の「見守り契約」を行政書士が解説

初稿:2023.2.4

更新:2023.11.26

目次


1,何かあっても誰にも気づいてもらえないという不安

今の時代は独身未婚や夫婦の別居、離婚、死別、子の独立などによる単身世帯が増えています。

 

そんな中にあって、一人暮らしをされている高齢者にとって、こんな不安を抱えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

 

近くに頼れる家族がいない・・・

今は元気だけどもし病気やケガなどになってしまったら・・・

 

定期的に連絡をとったり顔を合わせたりできるようなご家族や知人などが近くにいれば、いざという時にサポートしてもらえるかもしれません。

 

でも、そういった方が近くにおらず、健康状態が悪くなったり、判断能力が低下してきたりしたときには、誰にも気付いてもらえません。

 

その結果、孤独死を招いてしまうようなことも現実には起きてしまっているのです。

 

2,見守り契約は内容を自由に決められる

近くに頼れるご家族や知人がいない場合でも

  • 定期的に連絡をとってもらう
  • 様子を見に自宅まで来てもらう
  • 今の健康状態や生活の状態などを見守ってもらう

このように日頃から気にかけてもらう人が近くにいたら、大きな安心感を得ることができ、毎日の生活がより豊かになると思うのです。

 

ご本人の判断能力がしっかりされている間も、電話や訪問によって定期的に連絡を取ることで、 ご本人の心身の健康状況を把握して、生活を見守ることを「見守り契約」と一般的には言われています。

 

見守り契約は、法律で具体的に規定されているような契約ではありませんので、契約内容自体も委任者・受任者の間で自由に決めることができます。

 

一般的には、上記のように定期的に電話連絡や自宅訪問をしてもらう約束をすることが多いですが、病院への付き添いをお願いしたり、緊急時にかけつけてもらうこと、またご家族が遠方にお住まいであればそのご家族に対して健康状態や生活状況を報告してもらうことも可能です。

 

3,見守り契約は任意後見契約と組み合わせることが多いです

これまでご紹介してきた見守り契約は、通常、任意後見契約とセットで締結します。

 

任意後見契約というのは、将来認知症などで判断能力が低下してきたときに備えて、事前自分が選んだ信頼できる人に任意後見人になってもらうための契約を言います。

 

一方、法定後見という言葉を聞かれた方も多いと思いますが、これは任意後見のように事前に契約するのではなく、判断能力が低下した裁判所が後見人を決定するというものです。

 

したがって、誰が後見人になるかは分かりません。

 

認知症と診断されてしまうと、原則として単独での契約行為や預貯金の解約、遺産分割協議への参加などの法律行為ができません。

 

任意後見契約は、実際に判断能力がなくなってはじめて効力が生じる契約ですので、判断能力が低下したことを知る人がいないと、いつまで経っても任意後見はスタートしません。

 

それでは任意後見契約を結んだ意味がなくなってしまいますね。

 

これに対して、見守り契約は今すぐにでもスタートさせられる自由な契約です。

 

任意後見契約と併せて見守り契約を結んでおけば、任意後見が開始(判断能力が低下)する前から心身の健康状態を常に把握してもらえますので、判断能力がなくなったときに速やかに任意後見開始の手続きをとることができます。

 

こうしたことから、見守り契約は任意後見契約を補い、将来に備えて今をより安心して生活するという目的で用いられることが多くなっています。

 

(参考記事:任意後見制度とは

 

4,信頼関係を築けるかという視点も大切です

見守り契約と任意後見契約を同時に結ぶことは、得られる安心感という意味ではご本人の状況確認以外にも大切な点があります。

 

それは、将来的に任意後見人になる方と、定期的に連絡や面会をすることで、多くのコミュニケーションをとることになり、信頼関係を構築していけるという点です。

 

この点が、法定後見とは大きく異なるところです。

 

見守り契約は、任意後見が開始された後、ご自身に代わって様々な代理行為をしてくれる人が、一体どういう人なのか、自分の判断能力が低下した後にしっかり後見活動をしてくれる信頼できる方なのだろうか・・・といったことを、判断能力があるうちに、じっくりと見極めることができます。

 

見守り契約中に、将来後見人になってくれる方の対応をご自身の目で確認できますので、任意後見契約の見直しや解除という選択肢も考えることができ、そういう将来への安心という意味においても、とても良い契約と言えます。

 

5,どんな人が適任か

見守り契約のサービス提供者はたくさんありますが、誰でもよいという訳ではありません。

 

もし自分に何かが起きたときにに、安心して任せられる相手でなければ当然依頼することはできません。

 

親族がいる人であっても、遠方に住んでいたり、近くにいても頼れないなど、様々な事情がり、信頼できる第三者に見守りを依頼したい場合もあると思います。

 

そして、先に述べましたとおり、見守り契約は任意後見契約とセットで結ぶのが最も有効な方法ですので、単に見守りだけでなく、その先の将来的な視点も考えた上で契約したいところです。

 

いずれにしても契約内容は自由に設定できますが、やはり実際に面会しお話しをされる中で安心できる方と契約する必要があります。

 

6,見守り契約をおすすめする方

これまで見守り契約の内容やポイントなどをご紹介してきましたが、最後に見守り契約おすすめする方をまとめてみましたので、当てはまる方は参考にして頂ければと思います。

  • 独身の方
  • 離婚をして現在一人暮らしをしている方
  • 子どもや兄弟がなく配偶者が既に亡くなっている方
  • 親戚と疎遠になっている方
  • 家族が遠方にいる方
  • 認知症に備えて今できる対策を検討している方
  • 悪徳商法ひ引っかからないかが不安な方
  • 困りごと相談をしたいが自分からは相談に行けない方

7,まとめ

  • 見守り契約とは、電話や訪問によって定期的に連絡を取ることで、 ご本人の心身の健康状況を把握して、生活を見守る契約です。
  • 契約内容は委任者・受任者同士で自由決められます。
  • 将来への備えとして任意後見契約と一緒に締結するのがベストです。
  • ご家族だけでなく、信頼関係を築ける第三者との契約も視野に。

 

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最後までお読みくださり、ありがとうございました。

 

行政書士はやし行政法務事務所

代表行政書士 林 宏雄

 

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