今回は全財産を妻に残したい場合の遺言書の書き方についてご紹介したいと思います。
- 子どもはいるが、残された妻の生活を守りたい
- 子どもはいないが、両親が健在である
- 子ども・両親もいないが、兄弟姉妹がいる
上記にあてはまる方はご参考にして頂ければと思います。
目次
1、全財産を妻に残したい場合はとにかく遺言書の準備を!
自身にもしものことが起きた場合、残された妻はちゃんと生活していけるのだろうか・・・、安心して幸せに暮らしていってほしい・・・と、パートナーを気にかける方は多くいらっしゃいます。
そして、これは高齢の方に限ったことではなく、30代・40代の方も含めて、ご自身にもしものことが起きた場合、愛する妻(夫)への想いから、今からできる対策はどういったことが可能かというご相談をお受けすることが増えています。
現在の法律上では、自身の財産の承継は【法定相続】、【遺産分割協議】、【遺言書】の3つの方法によることになります。
そして、全財産を妻に渡したいという想いを実現するには遺言書を書くことが一番のオススメです。
2、法律で定められている各相続人の相続割合
民法で定められている各相続人の相続割合のことを「法定相続分」といいます。
具体的な相続分の前に、そもそも誰が相続人になるかを整理しておきます。
今回は、配偶者がいる場合の相続人について考えてみます。
考え方としては、配偶者は必ず相続人になります。
そして配偶者以外に
- 子ども
- 父母
- 兄弟姉妹
のいずれかが相続人になります。
そのいずれかを決める順番は上記の順番です。
したがって、基本的な相続人のパターンとして
- 子どもがいる場合は【配偶者+子ども】
- 子どもはいないが親が存命の場合は【配偶者+父母】
- 子ども・親はいないが兄弟姉妹がいる場合は【配偶者+兄弟姉妹】
- 子ども・親・兄弟姉妹がいなければ【配偶者のみ】
以上が基本的な相続人のパターンになります。
それではそれぞれのパターンでの相続割合をみてみます。
相続人のパターン | 配偶者 | 子ども | 父母 | 兄弟姉妹 |
配偶者+子ども | 1/2 | 1/2 | - | - |
配偶者+父母 | 2/3 | - | 1/3 | - |
配偶者+兄弟姉妹 | 3/4 | - | - | 1/4 |
配偶者のみ | 100% | - | - | - |
3、各相続人が最低限保障されている遺留分
遺留分の存在をご存知の方もいらっしゃると思いますが、改めて触れておきたいと思います。
遺留分とは、一定の相続人が保障されている最低限の遺産取得分のことです。
先ほど具体的な法定相続分についてご説明しましたが、遺留分を計算するにあたっては、法定相続分が基礎になります。
簡単にいうと「法定相続分の半分」と覚えておくとよいと思います。
その他、遺留分について気を付けたいポイントは
- 亡くなった人の兄弟姉妹には遺留分が認められていない
- 遺留分は遺言書によっても奪うことができない強力な権利
- ただし遺留分権利者が自身の遺留分を侵害され「遺留分侵害額請求」をした場合にはじめて問題となる
ということです。
全財産を妻に残したい場合の遺言書を作成するにあたっては、この遺留分の存在を無視すると後々にトラブルが起きる可能性があります。
それでは、具体的にどのように遺言書を書いたらよいか例をみてみましょう。
4、具体的な遺言書の書き方例
ポイント
✅全財産を妻に渡したい場合でも、遺言書本文にはできるだけ具体的な財産を挙げて財産の特定を容易にする。
✅財産に不動産がある場合は、履歴事項全部証明書(不動産登記簿)に記載の通り記入する。
✅兄弟姉妹以外の相続人には遺留分があります。法的効力はありませんが、「付言事項」としてメッセージを残すことが相続人の心に訴えることになり、トラブルを防げる可能性が高まります。
✅遺言執行者を指定しておくと相続手続きがスムーズです。妻を指定しても構いませんが、年齢や体調を考慮し相続人以外の第三者(例えば相続手続きを業としている専門家など)に指定しておくと安心です。
5、まとめ
全財産を妻に残したい場合はとにかく遺言書の作成をおすすめします。
ただしその場合でも遺留分の存在を無視することはできません。
相続人の範囲を調べた上で、各相続人の法定相続分・遺留分がどれぐらいあるかを大まかに計算してみましょう。
その上でそれぞれの状況にあわせて付言事項でメッセージを記載することも大切です。
妻に全財産を残したいと考えておられる方は参考にしてみてください。
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行政書士はやし行政法務事務所
代表行政書士 林 宏雄
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