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相続手続きの負担を減らす方法~法定相続情報証明制度~

当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

 

京都府向日市、長岡京市を中心に公正証書遺言の作成支援をしております行政書士の林宏雄です。

 

今回のテーマは「相続手続きの負担を減らす方法~法定相続情報証明制度~」について。

 

相続手続きにおける最終の目標は、相続税の申告になりますが、実は相続税がかかるケースはそれほど多くはありません。令和2年の相続税課税件数割合は8.8%と1割をきっている状況が続いています。そうすると相続税のかからない多くの場合においては、不動産の登記をはじめとする名義変更がゴールといえそうです。

 

しかし、この名義変更手続きには被相続人の出生から死亡までの連続戸籍や相続人全員の戸籍謄本など、集めると束になるほどの必要書類と手続きに負担を感じている人もまた多くいらっしゃると思います。

 

今回はそうした相続における手続きの負担につながる法定相続情報証明制度をご紹介します。

法定相続人が誰であるかを国の機関である法務局が確認した信頼できる情報として、不動産・金融・保険等のさまざまな機関での手続きに活用することができます。

 

目次


1,おおまかな手続きの流れ

法務局のHPからもダウンロードできますが、「法定相続情報一覧図の保管および交付の申出書」という書類に必要事項を記入します。そして一覧図(家系図のような図)を作成したものとあわせて戸籍謄本、除籍謄本などを添付して、管轄の法務局へ申出の手続きをするという流れになります。

 

交付を受けた一覧図の写しは、相続登記手続きのほかにも預貯金の相続や相続税の申告など、さまざまな手続きに利用することができます。

 

一覧図の写しは、相続手続きに必要な範囲で複数枚の交付を受けることができ(無料です)、申出日の翌年から5年間保存されます。その間は再交付の申出をすることができます。

 

2,申出書の作成

以下、申出書のサンプルを掲載しますのでご参考になさってください。

3,添付書類の準備

[必ず添付する書類]

  • 法定相続情報一覧図(上記サンプル)
  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本および除籍謄本
  • 被相続人の最後の住所を証する書面(住民票の除票または戸籍の附票)
  • 相続人全員の現在の戸籍謄本
  • 申出人が相続人の地位を相続により承継した者であるときは、これを証する書面
  • 申出書に記載されている申出人の氏名および住所と同一の氏名および住所が記載されている公的な証明書(免許証やマイナンバーカードの写し等)

[必要に応じて添付する書類]

  • 各相続人の住民票の写し
  • 代理人によって申出するときは、その代理人の権限を証する書面
    (親族の場合は委任状+親族関係のわかる戸籍謄本)
    (資格者代理人の場合は委任状+所属団体所定の身分証明書の写し)

4,申出に関するポイント

申出に関してはポイントがいくつかありますので、項目ごとにご紹介します。

 

▶申出先(管轄の法務局)

法定相続情報証明制度を利用するためには、管轄の法務局に申出をしなければいけません。管轄の法務局は下記になります。

  1. 被相続人本籍地を管轄する法務局
  2. 被相続人最後の住所地を管轄する法務局
  3. 申出人住所地を管轄する法務局
  4. 被相続人を表題部所有者・所有権の登記名義人とする不動産の所在地を管轄する法務局

上記の法務局であれば、どこの法務局でも法定相続情報証明制度の利用申出ができます。

 

京都地方法務局管内であれば、下記7箇所になります。

 

本局

京都市上京区荒神口通河原町東入上生洲町197

▶電話:075ー231ー0131

宇治支局

宇治市宇治琵琶33-2 宇治法務合同庁舎

▶電話:0774ー24ー4122

園部支局

南丹市園部町小山東町平成台一号17

▶電話:0771ー62ー0380

宮津支局

宮津市字中ノ丁2534 宮津地方合同庁舎

▶電話:0772ー22ー2561

京丹後支局

京丹後市峰山町吉原71

▶電話:0772ー62ー0365

舞鶴支局

舞鶴市字西110-5

▶電話:0773ー76ー0858

福知山支局

福知山市字内記10-29 福知山地方合同庁舎

▶電話:0773ー22ー3043

▶申出人

被相続人の相続人が申出人となります。代襲相続人も含みます。

複数の相続人が連名で申出をすることもできます。この場合には、いずれか1人の住所地を管轄する法務局に申出をすることができますが、申出の取り止めは連名の申出人全員からしなければなりません。

 

▶代理人による申出

成年後見人などの法定代理人のほか、委任を受けた代理人により申出をすることもできます。委任による代理人となることができるのは、申出人の親族または資格者代理人に限られます。

 

資格者代理人とは、弁護士・司法書士・土地家屋調査士・税理士・社会保険労務士・弁理士・海事代理士・行政書士のことをいいます。

 

▶再度の申出

申出後に、被相続人の死亡時にさかのぼって相続人の範囲が変更になってしまった場合、(例えば、被相続人死亡時胎児であった者の出生等)当初の申出人は、再度法定相続情報一覧図の保管およびその写しの交付の申出をすることができます。

 

5,法定相続情報証明制度を活用できる具体的な相続手続き

法定相続情報一覧図は、法務局における不動産の相続登記手続きに利用できるほか、不動産がない場合であっても以下のような手続きに利用することができます。

  • 金融機関における預貯金等の名義変更
  • 証券会社における株式等の名義変更
  • 保険会社における保険金請求等の手続
  • 税務署における相続税の申告
  • 日本年金機構における年金手続き

上記が代表的なものですが、利用範囲は拡大される方向に進んでいます。

 

6,まとめ

この法定相続情報証明制度を利用することで、従来であれば手続きの機関ごとに戸籍・除籍謄本等の束を出し直すという大変時間と手間のかかる作業が大幅に削減されることになります。

 

必要な戸籍を集めたと思っていても不足があればまた役所に請求をしているその間、手続きがストップしてしまうなども考えられます。

 

時間的な面だけではなくそうした精神的な面においても負担を軽減できる本制度は今後も活用されていくと思われます。

 

ただし、相続による名義変更などの手続きが1~2機関で済むような場合には、かえって労力がかかってしまうので本制度の利用はやめておいた方が良いと個人的には思います。

相続財産の種類や状況に応じてうまく制度を活用して頂ければ幸いです。

 


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最後までお読みくださり、ありがとうございました。

 

行政書士はやし行政法務事務所

代表行政書士 林 宏雄

 

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