· 

知っておいてほしい!相続の対象にならない財産の範囲

初稿:2022.3.30

更新:2023.11.4

目次

1.相続財産とは

ある人(被相続人)が亡くなると、その瞬間から相続が始まります。

 

相続というのは、亡くなった人が持っていた財産を一定の親族が引き継ぐことですが、引き継いだ人のことを「相続人」、引き継がれる人(亡くなった人)を「被相続人」と言います。

 

法律では、相続人は被相続人の財産に属した一切の権利義務を引き継ぐことが定められています。

 

この被相続人の財産に属した一切の権利義務を、「相続財産」あるいは「遺産」と言います。

 

2.相続財産にならないもの【一身専属権】

被相続人の財産に属した一切の権利義務はすべて相続人が承継するという相続の原則がある一方で、例外として相続財産に属さない財産・権利というものがあります。

 

     
  「被相続人の一身に専属したものは、相続人に承継されない。」  
    (民法896条ただし書)  
     

 

 

一身専属権と呼ばれるもので、個人の人格・才能や地位と密接につながっていて分けられない関係にあるため、他人による権利行使・義務の履行を認めるのが不適当なものを言います。

 

言葉で説明すると難しくなりますが、具体的に言うと

  • 雇用契約による労働債務
  • 特定のデザイナーによる製作債務
  • 公営住宅の使用権
  • 生活保護受給権
  • 著作者人格権など

 

これら一身に専属する権利・義務は相続されません

 

3.相続財産にならないもの【その他】

その他にも法律や裁判例で相続財産にならないとされているものをご紹介します。

 

【祭祀(さいし)財産】

系譜、祭具、墳墓等の祖先の祭祀のための財産は、相続とは別のルールによって承継されることになっています。

 

【香典・弔慰金】

慣習上、喪主あるいは遺族への贈与であって相続財産にはならないと解されています。

 

【死亡退職金】

死亡退職金は、公務員や民間企業の従業員の死亡に際して、勤務先から支払われ、就業規則等で受給権者の範囲や順位が決められています。

 

死亡退職金は受給権者が自己固有の権利として取得するものであり、相続財産には属さないとされています。

 

【遺族年金】

遺族年金も死亡退職金と同様に、受給者固有の権利であり、相続財産にはあたらないとされています。

 

【生命保険金】

受取人が「相続人の中の特定の者」あるいは受取人を「相続人」としている場合は保険契約に基づく相続人固有の財産とされます。

 

しかし受取人が「被保険者自身」である場合には、相続財産になります

 

4.相続財産は目録にして見える化しましょう

被相続人が亡くなると遺族は葬儀・納骨を行い、その後に相続手続きに入っていくケースが多いと思います。

 

相続手続きの流れは、被相続人が残した遺産をどのように各相続人に分けていくのかという遺産分割協議を経て、それぞれ名義変更や解約、処分をすることで手続きが完了します。

 

流れとしては上記の通りになりますが、まず最初にしなければならないのは「相続財産を確定させる」ことです。

 

この確定作業が大事で、相続財産が曖昧のまま遺産分割協議に入ってしまうと、協議後に財産漏れ認識不足から協議のやり直しをしなければならないといった事態が起こる可能性があります。

 

そうなれば相続人には大きな負担が伴いますね。

 

相続財産にあたるかどうかをきちんと把握しておくことを前提として、被相続人が残した遺産を一つずつ丁寧にリストアップしながら財産目録として目に見える形で記録していくことは、円満相続のための大きなポイントになります。

 

5.生前に財産目録を作成しておくのがベスト

円満相続という観点からいうと、上記のように「相続人が」財産目録をきちんと作成することは大切なのですが、それ以上に有益なのは「ご自身が、生前に」きちんと財産整理をし目録を作成しておくことです。

 

できれば、遺言書を作成し財産目録を添付しておくと更に良いです。

 

法律要件を満たした有効な遺言書であることが大前提ですが、遺言書があればまず遺産分割協議を経る必要がありません。

 

書き方にもよりますが、財産目録がきちんと整っていれば名義変更などの手続きや相続税の計算といった作業がかなりスムーズにスピーディーに進みます。

 

その結果、ご自身が亡くなった後、身内での争いは起きにくく円満に相続手続きが完了します。

 

そうした意味でも、ご自身が生前に財産目録を作成しておくことは、ご自身の人生の振り返りとしても、残された子や孫たちにとっても有意義であると私は思っています。

 

6.まとめ

今回の記事では、相続財産の範囲、特に相続財産にならないものについてご紹介しました。

 

相続のお手続きでは、知識として知らないがゆえに手続きが進まず不安に感じてしまうことが、どうしても起きてしまいます。

 

でも相続の場面というのは人生の中でそれほど多く経験することではないので、ある意味仕方のない事であるとも思います。

 

これから相続を迎える方にとって、あるいは既に発生している方でも、相続財産がどういうものかということを知って頂くだけでも、不安が解消されるのではないかと思います。

 


遺言・相続のお手続きなら当事務所へご相談ください

当事務所は、京都市を中心に関西全域で遺言書の作成支援をしている行政書士事務所です。

 

遺言書の作成は遺言者様の想いやご家族の構成によって表現方法に工夫が必要です。

 

当事務所では、ご相談者様のご意思をしっかりとお聞きした上で、円満相続になる遺言書案をご提案するとともに、戸籍・登記簿等の必要書類もすべて当事務所行政書士が代理取得いたします。

 

公正証書での作成をご希望の場合は公証人とのやりとりも全て当事務所が行いますのでご安心ください。

 

遺言を作成してみようかなとお考えの方は、まずはご連絡ください。

 

ご相談予約は「下記フォーム」か「お電話」からお待ちしております。

 

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

 

行政書士はやし行政法務事務所

代表行政書士 林 宏雄

 

日本行政書士会連合会(第17271844号)

京都府行政書士会会員(第2655号)

 

京都府向日市寺戸町寺山12-1(向日市役所から車で2分)

電話:075-555-0513

財産目録だけでも作成してみようかな・・・とお考えの方もお気軽にご連絡ください!