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公正証書遺言の作成に必要書類を行政書士が解説します

公正証書遺言を作成するには、多くの書類を準備しなくてはなりません。今回は必要書類の一覧をまとめましたので公正証書遺言の作成をお考えの方の参考になれば幸いです。


目次


公正証書遺言とは

公正証書遺言とは公証人に公正証書として作成してもらう遺言書のことを言います。遺言者本人であることや財産の特定など公証人が作成する書類は高い証明力があり、遺言者が亡くなった後に人や財産を特定したり証明するにはこの公正証書という高い証明力が重要になってきます。

 

自筆によっても遺言書自体は作成できますが、証明力をはじめ以下のメリットがありますので、遺言書はやはり公正証書により作成することが望ましいです。

  • 形式の不備で無効になるおそれがなく、確実性が高い
  • 公証役場で原本を保管するため、紛失・隠蔽等のおそれがない
  • 相続人が遺言を発見することも容易である(遺言検索サービスの利用)
  • 家庭裁判所での検認が不要(自筆証書遺言では原則、検認が必要)
  • 文字を書けなくても作成できる(公証人に口頭で伝えられる)
  • 遺言者が亡くなった時には、すみやかに相続の手続きが行える

公正証書遺言の必要書類

公正証書遺言を作成するには、多くの書類を準備しなくてはなりません。本人確認書類や戸籍謄本など、人や財産を特定する書類など様々です。作成される遺言内容によって必要となる書類は異なりますが、実務経験上、以下の書類が準備できれば大丈夫です。

 

◆ 遺言者の本人確認書類 ◆

  • 印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの)
  • 実印(公証役場での作成当日、実印が必要です)印鑑登録をされていない人は市区町村役場で申請しておきましょう。
  • 運転免許証マイナンバーカードなど顔写真付きの公的証明書類

 

◆ 財産を渡す人に関する書類 ◆

  • 財産を相続させる法定相続人の続柄、氏名、生年月日がわかる戸籍謄本
  • 相続人以外の人(受遺者)へ財産を渡す場合はその人の住民票
  • 財産を渡したい相手が法人の場合はその法人の履歴事項全部証明書(登記簿謄本)

 

◆ 渡す財産の特定に関する書類 ◆

  • 不動産がある場合は、その不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)
  • 預貯金などの金融資産がある場合は金融機関名、口座番号を記載した通帳などのコピー(預金通帳であれば表紙と1ページ目)
  • 自動車がある場合は、その自動車の車検証のコピー
  • その他の財産がある場合は、その財産を特定できる資料

 

◆ 公証役場手数料の計算のため必要な書類 ◆

  • 不動産の場合は、固定資産評価証明書または、固定資産税納税通知書(毎年市町村から送付される書類)
  • 現預金のおおよその残高、投資信託等の現在額、上場株式の銘柄・株数など不動産以外の概算額を記載したメモ

 

◆ その他 ◆

  • 遺言者が証人を用意する場合は、その証人予定者の氏名、住所、生年月日、職業を記載したメモ
  • 遺言内容により必要な書類が異なりますので、公証人に確認しましょう。

公正証書遺言を作成するには証人2人が必要です

公正証書遺言の作成時、遺言内容が正しいことを証明するために、証人2人が必ず同席しなければなりません。その証人は誰もがなれるわけではありません。以下の人は証人になれませんので注意が必要です。

  1. 未成年者
  2. 推定相続人(将来相続人となるかもしれない人)
  3. 受遺者(遺言で財産をもらう人)
  4. 推定相続人や受遺者の配偶者や直系血族
  5. 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記および使用人

上記の様な利害関係のある人は証人にはなれません。

逆に遺言を作成する人にとって利害関係のない他人は証人になれます。

 

友人・知人に証人をお願いすることもできますが、遺言内容が知られてしまうのでその点は考慮した方がよいと思います。

 

もし自分には適した証人がいないのであれば公証役場に相談すると紹介してもらえます。その場合は1人につき1万円程度の費用が発生します。

 

証人2人が決まれば、それぞれの身分がわかる資料(運転免許証、マイナンバーカードなど)と認印を遺言書作成当日、公証役場に持参してもらいましょう。

 

必要書類の取得方法と手数料

それぞれ書類取得のための交付手数料と取得できる場所をまとめておきたいと思います。

書類名 交付手数料 取得場所
印鑑証明書 1通300円 市区町村役場
戸籍謄本 1通450円 市区町村役場
住民票 1通300円 市区町村役場
履歴事項全部証明書 1通600円 最寄りの法務局
固定資産評価証明書 土地3筆、家屋3棟まで300円 市区町村役場

 

公正証書遺言の作成には以下の区分で公証人手数料が法定されています。

目的財産の価額 手数料
100万円以下 5,000円
100万円を超え200万円以下 7,000円
200万円を超え500万円以下 11,000円
500万円を超え1,000万円以下 17,000円
1,000万円を超え3,000万円以下 23,000円
3,000万円を超え5,000万円以下 29,000円
5,000万円を超え1億円以下 43,000円
1億円を超え3億円以下  43,000円に超過額5,000万円ごとに13,000円を加算した額

上記に加え、

全体の財産が1億円以下の場合は、上記手数料に11,000円が加算されます。

遺言書原本が4枚を超えるときは、超える1枚ごとに250円加算されます。

遺言書正本・謄本の交付には、1枚につき250円が必要です。

 

公正証書遺言を専門家に頼むとよい理由

公正証書遺言の作成を専門としているのは我々行政書士や司法書士、弁護士といった士業が多いです。当然費用は発生してきますが、ご自身の大切な財産を争いなく確実に承継してもらうためにこの費用をどうとらえるか、それは個人の判断次第になりますが、やはり日頃から遺言実務に着手している専門家に相談することのメリットは、私は大きいと思います。具体的な例を挙げると以下の3つです。

 

①遺言内容について法的な面からアドバイスがもらえる

 

公証人は遺言内容について一般的な助言はしてくれますが、それにもやはり限度があり、遺言者の目線にたち相続関係を把握しながら争いが起きないような工夫をするところまで手が回りません。その点、専門家ですとどのような場合に紛争になりやすく、逆にどのような配分や対策をすることで争いを未然に防げるかといったケースを経験上理解しているため、遺言者にとって最善の内容を一緒に考えてくれるはずです。

 

②必要書類の取得や公証人とのやりとりなど代理してもらえる

 

先述のとおり、公正証書遺言を作成するには収集する書類が多岐に渡り、また役所は平日しか申請ができないため時間的な調整が難しい場合がありますし、戸籍謄本や登記簿謄本も日常生活で使用する場面はそう多くないため、よくわからないこともあります。また公証人とのやりとりをすることも大きな負担であると思います。そうした負担をすべて任せることができるのは大きなメリットになります。

 

③証人を手配してもらえる

 

公正証書遺言の作成時は証人2人の同席が必須です。その証人には遺言書作成に関わる専門士業やその関係者が直接就任してくれるケースが多いです。実はこの証人を探すのも結構大変でして、遺言作成と共に依頼できる点も大きなメリットだと思います。

 

まとめ

必要書類を集めたり、証人2人を手配するなど、労力は確かにかかりますが、基本的にはご自身で公証役場へ連絡し公証人と打ち合わせをして遺言書を完成させることができます。遺産相続について、相続人が一人しかいない場合や財産面でも心配するような要素が全くないのであればご自身で進めることも良いと思います。

一方で、相続人が複数人いる人や確実に財産を希望通りに渡したいとお考えの方は、専門家にご相談されることをおすすめいたします。

いずれにしても、公正証書遺言を作成される人が一人でも増え、争いのない平和な社会になっていくことを願っております。

 

公正証書遺言の作成なら当事務所へご相談ください

当事務所は、京都市を中心に関西全域で、公正証書遺言の作成サポートを専門にしている行政書士事務所です。遺言者様のご意思をしっかりとお聞きした上で、争族にならないような遺言書案をお作りするとともに、必要書類についてもすべて当事務所行政書士が代理取得いたします。もちろん公証人とのやりとりも全て当事務所が行いますのでご安心ください。

確実に公正証書遺言を作成したいとお考えの方は是非ご相談ください。

ご相談予約は「下記フォーム」か「お電話」からお待ちしております。

 

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

 

行政書士はやし行政法務事務所

代表行政書士 林 宏雄

 

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