作成:2022.2.11日 更新:2024.4.1
結婚をするということは、新しく夫婦二人の戸籍をつくるということです。
これからご結婚される方に知っておいてほしい戸籍のことをご紹介いたします。
京都市オリジナルの婚姻届もご覧いただけますので、最後までお読みいただければ嬉しいです。
目次
1. 戸籍とはどういうものか
戸籍というのは、日本人が出生してから死亡するまでの身分関係(出生、結婚、死亡、親族関係など)を登録し、公に証明するための公簿を言います。
現在の戸籍は、【一組の夫婦】と【姓を同じくする未婚の子】を単位につくられています。
なお、戸籍法では三代戸籍が禁止されていますので、「親・子・孫」というような記載はできないことになっています。
戸籍は、戸籍法に基づく届出により記録されて、本籍地(=戸籍を置いている場所のこと)の市区町村役場に保管されています。
戸籍には
- 本籍
- 筆頭者氏名
- 氏名
- 出生年月日
- 戸籍に入った原因および年月日
- 実父母の氏名および続柄
- 養親の氏名および続柄
- 夫婦についての夫又は妻
- 入籍前の戸籍の表示
- 離婚や死亡に関する事項
などが記載されています。
【参考記事】
2. 戸籍にまつわる用語解説
市役所の市民課などで戸籍謄本を取得したいとき、請求用紙にはたくさんの難しいワードが並んでいて、どこにチェックを入れたらよいか迷ったことが過去ありました。
戸籍に関連する用語って分かりづらいんですよね。
ザっとですが、改めて用語の意味をまとめてみましたので参考にして頂ければ幸いです。
本籍(ほんせき)
戸籍が所在する場所のことです。
本籍と住所は、一致している場合もありますが、全く別のものです。
筆頭者(ひっとうしゃ)
戸籍の一番最初に記載してある人のことで、戸籍のインデックスのような役割をしています。
戸籍の筆頭者は亡くなられても代わることはありません。
婚姻届には、夫の氏を名乗ることとした場合は夫が、妻の氏を名乗ることとした場合は妻が戸籍の筆頭者となります。
戸籍謄本(こせきとうほん)
戸籍に記録されている全員の記載事項をコピーしたものです。
「戸籍全部事項証明」ともいいます。
戸籍抄本(こせきしょうほん)
戸籍に記録されている一部の人の記載事項をコピーしたものです。
「戸籍個人事項証明」ともいいます。
現在戸籍(げんざいこせき)
現在在籍している人がいて使用されている戸籍のことをいいます。
略して「現戸籍(げんこせき)」ということもあります。
除籍(じょせき)
現在の戸籍から婚姻や死亡によって外れるという意味でも「除籍」という言葉は使いますが(=一部除籍)、戸籍を構成員が全員いなくなってしまった戸籍のことも「除籍」といいます(=全部除籍)。
改製原戸籍(かいせいげんこせき)
戸籍は法律が変わる事(=改正)により、新しい様式の戸籍に作り変える(=改製する)ことがあります。
その場合、以前の古い戸籍は除籍された事になり、改製原戸籍(または原戸籍)になります。
現在の戸籍である現戸籍(げんこせき)と音が紛らわしいため、改製原戸籍のことを「かいせいはらこせき」または「はらこ」)と読むこともあります。
改製原戸籍は法律の改正があった時期により2種類に分けられます。
一つは、昭和32年法務省令による改製が行われた際の【昭和改製原戸籍】です。
この改製での変更内容として、それまで「戸主とその親族」によって構成されていた様式から、「筆頭者とその配偶者、子」によって構成される様式に変更されました。
もう一つは、平成6年法務省令による改製がされた際の【平成改製原戸籍】です。
この改製での変更内容として、戸籍を「紙の帳簿」で管理する方式から、「コンピュータの電子データ」で管理する方式に変わりました。
戸籍の附票(こせきのふひょう)
新しく戸籍をつくった時以降の住民票の移り変わりを記録したもので、戸籍とセットで本籍地の市区町村で管理されています。
※これまで戸籍関係の証明書の発行は本籍地に限られていましたが、令和6年3月1日から、全国どこの市区町村でも戸籍証明書等の交付を請求することができるようになりした(本人等が窓口で行う請求に限られます)。
【参考記事】
3. 結婚すると戸籍はどうなるか
生まれてから結婚するまでは親の戸籍に入っていますが、結婚すると親の戸籍から出て(一部除籍)、夫婦の新しい戸籍をつくることになります(「新戸籍の編製」といいます)。
新戸籍を編製するには、婚姻届を作成、提出することで手続きは完了します。
先にも触れましたが、婚姻届の記入の際には、夫と妻のどちらの姓を名乗るかを決めなくてはなりません(令和5年9月現在)。
そうして決められた夫または妻が新戸籍の筆頭者となり、新たな本籍地を設定します。(下図)
その他必要事項を記入し、夫婦になる2人と成人の証人2人が署名押印(認印でOK)すれば婚姻届が完成します。
あとは、届出地に本籍のない人の戸籍謄本(全部事項証明書)、届出人の本人確認書類、夫と妻それぞれの印鑑を用意し市区町村役場の市民窓口課などの窓口に届け出て、本人確認、書類審査を終え法律上の結婚(婚姻)が成立し、夫婦の新戸籍がつくられます。
事務手続上、戸籍に登録されるのは、通常1週間程度かかります。
※これまで、婚姻届などの各種戸籍関係の届出を本籍地以外の市区町村で行う場合は、戸籍謄本の添付が必要でしたが、令和6年3月1日以降、戸籍届出時(婚姻届など)の戸籍証明書等の添付が原則不要となりました。
京都市が発行している「オリジナル婚姻届」が下記リンクからご覧いただけます。
A3の白紙に印刷すれば実際に提出できますよ。
https://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/cmsfiles/contents/0000189/189896/konin.pdf
4. 離婚すると戸籍はどうなるか
結婚をする人もあれば様々な事情で離婚をする人もあります。
離婚をすると、婚姻中の戸籍から婚姻によって籍に入った人が除籍されます。
その時に、除籍される人は、
- 結婚前の戸籍に戻るのか
- 単独で自身を筆頭者とする新しい戸籍を作るか
を決める必要があります。
多くの場合、結婚した際に夫を筆頭者とする戸籍を作っていますので、妻であった人が、結婚前の戸籍(通常は親の戸籍)に戻るのか、自身の新しい戸籍を作るのかを決めるということになります。
妻であった人にお子さまがいらっしゃらない方ですと通常は親の戸籍に戻りますが、お子さまがいらっしゃる方ですと自身の新しい戸籍を作り、子どもを入籍させる場合が多いです。
結婚前の戸籍に戻る場合は旧姓に戻り、自身が筆頭者になって新しい戸籍を作る場合は旧姓でも婚姻時の姓を継続させることもできます。
なお、結婚前の戸籍に戻ることなく、新しい戸籍を作る場合は、本籍地を決めなくてはなりません。
入籍時と同様に本籍地はどこでも定めることはできますが、離婚後の住所を本籍地にする人が多いようです。
5. まとめ
結婚をするということは、それまで入っていた親の戸籍から夫婦の新しい戸籍をつくり独立することになります。
普段あまり戸籍に触れる機会は少ないと思いますが、新戸籍の編製を機に夫婦や親族関係のことなども話し合ってみてはいかがでしょうか。
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行政書士はやし行政法務事務所
代表行政書士 林 宏雄