かわいい孫に財産を残したいとお考えの人は多くいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし日本の法律における相続の世界では、孫は法定相続人ではないため、何も対策をしておかなければ孫に財産を渡すことは基本的にはできません。
それを可能にするための方法として考えられるのが「遺贈」と呼ばれるものです。
目次
1、孫は法定相続人ではありません
まず最初に触れておきたいのが「孫は相続人ではない」という点です。
孫の存在というのは子と同じように感じられるので相続させられそうだと漠然と思われるかもしれません。
しかし相続に関するルールを定めている民法では、孫の相続権を認めていません。
法律で定められている相続権を持つ人を法定相続人と言いますが、法定相続人は下記の人です。
◆被相続人の配偶者
配偶者がいる場合は、その配偶者は常に相続人になります。
◆被相続人の血族
次の順位で決まります。
[第一順位]
子ども(相続開始前に既に死亡している場合は孫)
[第二順位]
親(両親が相続開始前に既に死亡している場合は祖父母)
[第三順位]
兄弟姉妹(相続開始前に既に死亡している場合は甥・姪)
血族の相続権は上記順位に従って決められます。
亡くなった人(被相続人)の子や孫など直系卑属(ちょっけいひぞく/自分より後の世代で、直通する系統の親族のこと)が1人もいなければ、第二順位である父母や祖父母など直系尊属(ちょっけいそんぞく/自分より前の世代で、直通する系統の親族のこと)に移ります。
直系尊属が1人もいなければ、第三順位である兄弟姉妹など傍系(ぼうけい/血はつながっているけど親子関係で結ばれていない親族のこと)の血族移ります。
民法では被相続人が亡くなることで生活に困る人を守ることに重きを置いています。
そのため、より被相続人と血縁関係の近い人が相続人になれる仕組みをとっています。
このことから、子よりも被相続人との関係が遠い孫は相続人にはなれないと言われています。
【関連記事:民法上の法定相続人の範囲と相続割合】
2、遺言書で遺贈することができます
遺言書は亡くなった人の意思であり、遺言書に記載された内容は法定相続分より優先されます。
遺言書を残すことで、財産のうち「何を」「誰に」「どれだけ」相続させたいかなど、自分の意思を伝えることができます。
なお、遺言によって財産の割合を指定し、特定の誰かに財産を引き継がせることを【遺贈(いぞう)】と言います。
遺贈の相手は法定相続人に限定されているわけではなく、それ以外の個人や団体にも財産を引き継がせることができます。
もちろん、相続権のない「孫」に対しても、財産の一部を特定させて残すことや「〇分の〇」といった割合を指定することも可能になります。
遺贈に限った事ではありませんが、遺言書は法律上の要件を満たしていない場合には、無効となってしまう可能性があるので注意が必要です。
遺言書の作成方法は、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類があります。
確実に孫に遺産を相続させたい場合は、公正証書遺言を作成しておくのが安心です。
【関連記事:公正証書遺言の作成方法(事前準備編)】
【関連記事:公正証書遺言の作成方法(作成当日編)】
3、孫への遺贈する遺言書の書き方
遺言書で孫に相続財産を残す場合、先述の通り孫には相続権がないので、遺言書への記入は「孫〇〇に、△△を遺贈する」といった表現が使われます。
実際の遺言書の文例をご紹介しますのでご参考にして頂ければ幸いです。
上記文例はあくまでも一例です。遺言者様のご意思や、遺贈したい相手や相続人、財産など様々な状況により遺言書に記載する文は異なります。
4、まとめ
かわいい孫に財産を遺したい・・・。
このように思われる方は多いかもしれません。
ですが孫は法定相続人ではありませんので、何も対策をしなければ財産を遺すことはできません。
孫に財産を遺したいとお考えの方は、遺贈をすることでそれが可能となりますので遺言書を作成されてみてはいかがでしょうか。
なお、様々な状況により遺言書の文面、相続税や遺留分など気をつけておきたい点もありますので、専門家に相談することも視野に入れるとよいかもしれません。
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遺言書の作成は遺言者の想いや家族構成によって表現方法が異なりますので、確実に遺言を作成したいとお考えの方は是非ご相談ください。
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行政書士はやし行政法務事務所
代表行政書士 林 宏雄
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