はじめに
皆さま、こんにちは。
行政書士の林です。
久々の更新となってしまいました。
当ブログをご覧になって頂いている方がおられましたら申し訳けありません。
いらっしゃるかな・・・?
さぼり癖がつくとますます更新頻度が下がってしまいますので、気持ち新たに投稿していきたいと思います。
さて今回のテーマは「相続人が誰もいないとき」について触れてみたいと思います。
一つの事例を基に見ていきましょう。
<事例>
Aさんは貸家の大家さんです。
その貸家には高齢のBさんが入居されていました。
Bさんは先日亡くなられましたが、身寄りがない様子なのでAさんの方で葬式を出しました。
また電気代などの光熱費や病院費用もAさんが立て替えており家賃数ヶ月分も未払いになっています。
Aさんはこれらの立替金や家賃をBさんが残した預金から引き出してもらえるのでしょうか?
<回答>
相続が開始したが、相続人がいるのかいないのかはっきりしない場合を「相続人不存在の場合」と言います。この場合、Bさんに対して立替金などの債権をもっているようなAさんの立場の人も勝手にBさんの預金を引き出すことはできません。家庭裁判所により選任された相続財産管理人が預金などのBさんの財産を管理し、相続人をさがし、財産を清算する手続きを行い、その手続きの中でAさんは立替金などの支払いをうけることができます。
目次
1. 相続人不存在の場合の手続き
相続人不存在の場合には、利害関係人または検察官の請求によって、家庭裁判所は相続財産管理人を選任します。事例のAさんの場合は、死亡したBさんに対する債権者として利害関係人にあたりますので、この申立てをすることができます。その後の手続きは次のように進みます。
- 家庭裁判所は相続財産管理人の選任を官報に公告し、その後2か月以内に相続人が現れなかったときは、管理人が清算手続きに入ります。
- 管理人は少なくとも2か月以上の期間をきめて、死亡した人の債権者や受遺者(遺言で財産をもらった人)に請求の申出をするよう官報に公告し、またすでにわかっている債権者や受遺者に対して請求の申出の催告をします。
債権者であるAさんとしては、この段階でBさんに対する債権(葬式費用、光熱費、病院費用などの立替金、未払家賃)を管理人に申し出ることが必要です。
管理人は、預金のような遺産の中から債権者に支払いをします。Aさん以外にも債権者がおり、すべての債権額が遺産の価額を上まわるときは債権額に按分して支払われます。また、遺産の中に土地、建物や道具類があるときは、管理人はこれらの遺産を競売して現金化したうえで、債権者に支払います。こういった遺産の管理や処分はすべて管理人が行いますので、債権者であるAさんが自ら行うことはできません。
2. 相続人不存在の確定
前述の二度にわたる公告によっても相続人のあることが明らかにならないときは家庭裁判所は6か月以上の期間を定めて最後の相続人捜索の公告をします。この期間内に相続人が現れないと、相続人不存在が確定することになります。
相続人不存在が確定すると、相続人や債権者、受遺者はもはやその権利を主張することはできなくなります。Aさんとしてはおそくともこの時期までに管理人に債権の申出をする必要があります。
3. 特別縁故者
相続人不存在確定後3か月以内に、亡くなった人と生計を同じくしていた者、亡くなった人の療養看護に努めた者その他の特別縁故者は、家庭裁判所に遺産の全部もしくは一部をもらうこと(=分与)を申し立てることができます。この分与がなされず、または一部の分与のみがなされて遺産が残ったときは、その遺産は国のものになります。
4. まとめ
以上、相続人が誰もいない場合についてまとめてみました。
上述のように、身寄りがない「おひとりさま」の相続は、遺された方に大変な負担をかけることになります。財産分与まで1年以上の時間がかかり、慣れない各種手続きや相続財産の不動産になかなか買い手が付かず、最終処分まで長い年月を費やす可能性があるなど、さまざまな困難が想定されます。
このような事態をを防ぐためには「遺言」を作成しておくことが一番よいでしょう。ご自身の財産を誰に、どのように分配、あるいは処分していくかをご自身で決めることができるからです。
- 配偶者、子どもがいない
- 兄弟姉妹もいない
- 両親や祖父母はすでに亡くなっている
- 法定相続人はいるが全員相続放棄をした場合
上記のような場合は是非遺言書を作成しておかれることをおすすめします。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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