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「保佐」制度とは

認知症がすすみ、正常な判断能力が著しく低い状況になると

「保佐」制度の利用を検討した方がよいかもしれません。

今回は法定後見制度の中のひとつ「保佐」制度について書いてみたいと思います。

 

目次

1. 保佐制度とは

精神上の障害によって正常な判断能力が著しく低い状況にある方は家庭裁判所で保佐開始の審判をうけると被保佐人(支援される人)となり保佐人(=支援する人)が選任されて一定の場合に本人がした取引行為を取り消したり、代理することで本人を保護、支援する制度です。

 

2. 保佐開始の審判の申立て先

後見開始の審判の申立ての場合と同様、本人の住所地を管轄している家庭裁判所に対して行います。(参照:「後見」制度とは

 

3. 申立てをすることができる人

  • 本人
  • 配偶者
  • 四親等内の親族
  • 後見人
  • 後見監督人(本人が被後見人のとき)
  • 補助人
  • 補助監督人(本人が被補助人のとき)
  • 任意後見受任者
  • 任意後見人
  • 任意後見監督人(任意後見契約が登記されているとき)
  • 検察官
  • 市町村長(65歳以上の者または知的障害者、精神障害者についてその福祉を図るため特に必要があると認めるとき)

4. 保佐開始の判断

「後見」制度の場合と同様です。(参照:「後見」制度とは

 

5. 保佐人の同意が必要な行為

被保佐人は一定の行為について保佐人の同意を得なければなりません。

同意を得ずにした行為は、被保佐人自身または保佐人がいつでも取り消すことができます。

一定の行為とは以下のような行為です。

 

  • 不動産の購入・売却・賃貸借
  • 建物の新築、リフォーム
  • 金融機関などからの借金
  • 他人へ金銭を貸す行為
  • 他人の借金の保証人になる行為
  • 贈与
  • 預貯金の払い戻し
  • クレジットカードの契約
  • 相続の承認または放棄、遺産分割
  • 訴訟行為

 

なお、日用品の購入やその他日常生活に関する行為については保佐人の同意は必要ありません。

 

6. 保佐人への代理権の付与

さらに被保佐人の保護のために必要があるときは家庭裁判所に申し立てて、保佐人に特定の行為についての代理権を付与する旨の審判をしてもらうこともできます。

この審判がなされると、保佐人が本人に代わって特定の行為を行うことができます。

 

例えば、被保佐人本人が貸家を所有しているのであれば家賃の請求や受領などの行為について審判をしてもらえば本人に代わって保佐人に家賃請求や受領などをしてもらうことができます。

 

なお、この審判の申し立ては、先に述べた保佐開始の審判の申立権者のほか、保佐人、保佐監督人が行うことができます。しかし、本人以外が申し立てる場合本人の同意が必要とされています。

 

 

以上、保佐制度についてまとめてみました。

次回は「補助」制度について書いてみたいと思います。

 

最後までお読み頂きありがとうございました。


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