年をとって判断能力がおとろえてきたな、でも後見制度や保佐制度を
利用するほどでもないなという場合に利用できる制度が「補助」制度です。
法定後見制度3類型の中で一番軽度の補助制度について見ていきたいと思います。
目次
1. 補助制度とは
精神上の障害により判断能力が不十分な者に対しては、家庭裁判所に補助開始の審判を申し立て、
補助人を選任してもらう制度です。
補助制度は、精神上の障害の程度が成年後見や保佐の対象にまで至らない軽度の者を対象としています。
2. 補助開始の審判の申立て先
3. 申立てをすることができる人
- 本人
- 配偶者
- 四親等内の親族
- 後見人
- 後見監督人(本人が被後見人のとき)
- 保佐人
- 保佐監督人(本人が被保佐人のとき)
- 任意後見受任者
- 任意後見人
- 任意後見監督人(任意後見契約が登記されているとき)
- 検察官
- 市町村長(65歳以上の者または知的障害者、精神障害者についてその福祉を図るため特に必要があると認めるとき)
4. 補助開始の判断
家庭裁判所は、審判に際して医師の判断の結果、その他適当な者の意見を聴かなければなりません。
5. 補助人の権限
家庭裁判所は、当事者の申立てにもとづいて、本人(=被補助人)の特定の法律行為について、
補助人に同意権または代理権の一方または双方を付与することができます。
補助人に同意権が与えれらたときは、被補助人がある特定の法律行為を行う場合に補助人の同意を得なければならず、同意を得ないでした行為は、被補助人自身あるいは補助人が取り消すことができます。
同意権の対象となる法律行為は、次の行為の「一部」にかぎられます。
- 不動産の購入・売却・賃貸借
- 建物の新築、リフォーム
- 金融機関などからの借金
- 他人へ金銭を貸す行為
- 他人の借金の保証人になる行為
- 贈与
- 預貯金の払い戻し
- クレジットカードの契約
- 相続の承認または放棄、遺産分割
- 訴訟行為
6. 補助開始の審判の申立ての手続
当事者は、補助開始の審判の申立てと同時に、特定の行為(上記)について、補助人に同意権または代理権を付与する旨の審判の申立てを行います。
例えば「定期預金の解約」や「自宅の土地建物の処分」について、補助人に同意権を付与する旨の審判の申立てをするなどです。
補助開始の審判の申立ては、本人の自己決定を尊重する観点から本人の同意または承諾が必要とされています。
また、補助開始の審判の申立てと同時に行う同意権または代理権付与の審判の申立てについても、本人の同意または承諾が必要です。
なお、補助開始の審判があっても戸籍には記載されないことは、後見制度、保佐制度と同様です。
(参照:「後見」制度とは)
以上、補助制度についてまとめてみました。
法定後見制度には3類型の制度があり、どの制度を選択するかは、判断能力の状況に応じて、ということになります。
最終的には家庭裁判所の判断になりますが、制度について不安に思うことや疑問などがあればまず弁護士、司法書士、行政書士といった専門家にご相談されてみてはいかがでしょうか。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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