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判断能力が低下している高齢者の財産管理方法

現行民法に下記のような規定があります。


「法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、

その法律行為は、無効とする。」(民法3条の2)


 

意思能力とは、自分の行為の結果を弁識し、判断できる能力をいいます。

 

 

しかしながらその程度は人によって様々なはずで、重度の方もおられれば、年相応の軽度の方もおられるでしょう。その判定は難しい面もあります。

 

法律行為といえば契約を思い浮かべますが、これも多額のものから少額のもの、さまざまです。

 

例えば不動産売買契約を結び高額な取引きをするのも契約ですし、スーパーで食材を購入する行為も売買契約であり、法律行為です。

 

これらすべてを意思無能力を理由に無効にしていたら社会が成り立たなくなりますから、日常生活に関連する少額な買い物などは有効ですし、これまでにご紹介してきた財産管理契約や、任意後見契約であったり信託契約についても、軽度な方であれば有効となる可能性が高いと思われます。

 

一方で、認知症がある程度進んでいる状態であれば、日常の買い物は別として、任意後見契約や信託契約などは意思無能力を理由として契約が無効となる可能性が高いといえます。

 

このような場合には、やはり法定後見制度(過去の記事参照)を利用して高齢者の財産管理を行うことを検討した方がよいでしょう。

 

法定後見は、判断能力の程度に応じて、「後見」「保佐」「補助」の3段階に分かれています。

 

後見は「事理弁識能力」を欠く常況にある者を、保佐は「事理弁識能力」が著しく不十分な者を、補助は「事理弁識能力」が不十分な者を対象としており、成年後見人・保佐人・補助人はそれぞれの権限に応じて判断能力が十分でない高齢者の財産を管理することになります。


以上、判断能力が低下している高齢者の財産管理方法についてご紹介させていただきました。

意思能力の有無については判断が難しい面があり、自身では大丈夫と思っていても相手がある事なのでやはり法律行為が無効となるリスクがゼロではありません。財産管理を含め今後の生活をする上では、医師の診断結果をもとに慎重に検討してく必要があると思います。

 

最後までお読みくださりありがとうございました。

 

特定行政書士 林 宏雄