· 

相続した土地を国が引き取ってくれる!?

目次

前回は、所有者不明土地の問題を解決するために不動産に関するルールが大きく変わるという内容をご紹介しました。改正法では、所有者不明土地の「発生の予防」と「利用の円滑化」の両面から、総合的な見直しが行われており、ポイントは以下3点に整理することができます。

  1. 登記がされるようにするための不動産登記制度の見直し
  2. 土地を手放すための制度(相続土地国庫帰属制度)の創設
  3. 土地利用に関する民法のルールの見直し

1.の不動産登記制度の見直しについては前回の記事をご参考いただければ幸いです。

そして今回は2.土地を手放すための制度(相続土地国庫帰属制度)の創設についてご紹介させていただきます。


1.どんな制度か

ご自身がもし、ご実家の土地を相続するとなったらどんな事を感じるでしょうか?色んな見方は出来るかもしれませんが、「ん~どうしよう・・・困ったな・・・」と直感的に感じる方も少なくないのではないでしょうか。それはなぜかと言うと、利用が難しく負担感を感じるからです。

 

都市部への人口移動や人口減少、高齢化の進展などを背景に、相続された土地が所有者不明土地につながる可能性は高いと言えるかもしれませんね。

 

そこで、所有者不明土地の発生予防の観点から、相続等によって土地の所有権を取得した相続人が、法務大臣(窓口は法務局です)の承認により、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする制度が新たに創設されました。

 

2.だれでも申請できる?

基本的に、相続や遺贈によって土地の所有権を取得した相続人であれば申請可能です。制度の開始前に土地を相続した方でも申請することはできますが、売買等によって任意に土地を取得した方法人対象にはなりませんので注意が必要です。

また、土地が共有地である場合には、共有者全員で申請しなければなりません。

 

3.どんな土地でも引き取ってくれるのか

通常の管理又は処分をするに当たって過大な費用や労力が必要となる土地については対象外となります。具体例としては

  • 建物工作物車両等がある土地
  • 土壌汚染埋設物がある土地
  • 危険な崖がある土地
  • 境界が明らかでない土地
  • 担保権などの権利が設定されている土地
  • 通路など他人による使用が予定される土地

上記が、法務省が発表している具体例ですが、要件の詳細は今後、政省令で定められる予定です。

申請後は法務局職員等による書面審査や実地調査が行われることになっています。

 

4.手続きに費用はかかるのか

申請時に審査手数料がかかります。国庫への帰属について承認を受けた場合は、負担金も納付することになります。※負担金とは、10年分の土地管理費相当額を言います。

具体的な金額や算定方法についても今後、政令で定められることになっています。

 


以上、土地を手放すための制度(相続土地国庫帰属制度)についてご紹介させていただきました。

新たな制度が創設されるといっても、まだまだ詳細については要検討という状況です。

しかしながら相続した土地を今後どうしていくか、もしくは将来的にそうなる可能性があるという方は多くいらっしゃると思いますので、ぜひ当事者意識になってこの制度の行く末を自分事として見守っていく必要があると思います。もちろん私も含めて・・・。

 

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

次回は、土地利用に関する民法のルールの見直しについてご紹介する予定です。

 

特定行政書士 林 宏雄