公正証書遺言を作成するには、証人2人以上が立ち会うこととされています。遺言は自分の財産を承継させる大切な手続きなので誰でも証人になれるわけではありません。今回はその証人について触れたいと思います。
目次
1,証人の意義
公正証書によって遺言をするには証人が必要です。
証人とは遺言の作成に立ち会い、作成された遺言が遺言者の真意に出たものであることを証明する者を言います。したがって、遺言作成に関し重要な地位にあるため、証人はそれに適した能力を持ち、利害関係のない者でなければならないとされています。
2,証人の法律上の欠格事由
民法では以下の者は証人になることができないと規程しています。(民974条)
1,未成年者
未成年者は十分な意思能力を有さないため証人の欠格者とされています。未成年者は、たとえ法定代理人の同意があっても証人となることができません。
2,推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者および直系血族
推定相続人や受遺者は直接的に、推定相続人・受遺者の配偶者・直系血族は間接的に遺言の内容に関し強い利害関係を有することから欠格者とされています。
3,公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人
公証人の関係者であって、遺言者に影響を与えるおそれがあるため、欠格者とされています。ここでいう公証人は、当該遺言の作成に携わる公証人を指します。
3,証人の事実上の欠格事由
法律上の欠格者として挙げられていない者についても証人となることに適さない者は、いわゆる事実上の欠格者として、証人になることができません。例えば以下のような者が挙げられます。
1,署名することができない者
証人は署名が必要であるため、これが出来ない者は証人となれません。
2,筆記の正確なことを承認する能力のない者
証人は、公正証書遺言において筆記の正確なことを承認した後、署名押印することが求められており、筆記の正確なことを承認する能力のある者でなければなりません。
3,法定代理人(親権者・成年後見人)・保佐人
法定代理人は、未成年者や成年被後見人の財産管理権があるため、また、保佐人も同意権等財産に対し関与するため、未成年者・成年被後見人・被保佐人の遺言に影響を与えるおそれがあるため、証人となり得ないとされています。ただし、この民法974条が制限的列挙の規定であることから、欠格者とならない見解もあります。このように見解が分かれている以上、できる限り法定代理人を証人とすることは避けた方がよさそうです。
4,利害関係のある遺言執行者
判例では、利害関係を有する者でないのであれば証人となることができるとしています。
4,まとめ
このように、法律上・事実上において証人として適さない方がいますが、逆を言えばそれ以外であれば誰でも証人になれると言えるかもしれません。
ただ、遺言という性質上、気軽に知人にお願いするのも躊躇しますし、利害関係のある方を除くとなかなかお願いできる方がいらっしゃらないのが現実ではないでしょうか。
そうしたことから私たちのような守秘義務の課せられた行政書士をはじめとする士業が証人となるケースが多いです。もし公正証書遺言を作成したいけど誰を証人に・・・と悩まれている方がおられましたらご相談いただければ幸いです。
以上、証人についてまとめてみました。
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行政書士はやし行政法務事務所
代表行政書士 林 宏雄
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