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「デジタル資産」の相続における注意点・生前対策を解説

目次


1,デジタル資産とは?

インターネットを介してオンライン上で保有・管理している財産を総称してデジタル資産と言います。

 

パソコン、スマホ、タブレットなどのデジタル機器を利用して、インターネット上の取引アカウントによって、ログインIDパスワードによってその情報が管理されているのが特徴です。

 

具体的には、ネット銀行口座ネット証券口座などが挙げられますが、その他には電子マネー仮想通貨サブスクリプション契約における各種サービスなどもデジタル資産といえます。

 

総務省のデータでは、スマホや携帯電話などのモバイル端末を保有している世帯は95%を超えており、パソコンを保有している世帯はおよそ70%とされています。そしてインターネットの利用状況は84%、そのうちの金融取引のために利用している人は20%を超えており、年々増加しています。今後も増加していくのは間違いありません。

 

このデジタル資産も不動産や預貯金といった目に見える財産と同様に相続の対象になります。

 

2,相続におけるデジタル資産の問題点

デジタル資産の相続において、最大の問題点としては、財産についての情報が本人以外の人からは非常に見えにくいという点が挙げられます。

 

通常であれば、銀行口座なら預金通帳、証券口座なら取引残高報告書というように紙媒体による取引記録が故人の手元に残っている場合が多いですから、遺族としてはそれらを手掛かりに財産を見つけやすいと思われます。

 

一方、ネット銀行、ネット証券、電子マネー、動画や音楽などのサブスクリプション契約などのデジタル資産の場合、基本的にはオンライン上でのみ情報確認が可能になる、つまり実態がなく目に見えないものであり本人にしか分からないので、遺族が発見することは大変難しいということになります。

 

3,デジタル資産を放置することのリスク

前述の通り、デジタル資産というのは本人にしか分からない目に見えない資産であるため遺族が発見することは大変難しいといえます。また、こうしたデジタル資産は相続財産として相続人に承継されるものという認識が薄いということもあり、そのまま放置されることがありますが、実はそのことがトラブルにつながるという危険性があります。

 

人が亡くなり相続が発生すると、相続人全員で遺産分割協議を行い、誰が、何を、どれだけ承継するのかを決めなくてはなりません。しかし、やっとの思いで遺産分割協議が成立したとしても、その後にデジタル資産の存在が判明した場合、そのデジタル資産についてのみの遺産分割協議を再度行わなければならない可能性があります。

 

改めて相続人全員のスケジュールを調整したり、遺産分割協議書を新たに作成して相続人全員の署名と実印を押印してもらうのはかなりの手間になりますね。

 

また、デジタル資産の財産価値によっては相続税が発生することも可能性としてはゼロではありませんし、動画や音楽などサブスクリプション契約を解約されないため、料金を払い続けてしまうなどの点も要注意です。

 

4,故人のデジタル資産を調査する方法

故人が生前にデジタル資産の情報を明らかにしておけばよいのですが、そうでない場合は、相続人が財産の調査を行わなければなりません。

 

デジタル資産の調査方法としては以下のような方法で行います。

 

  • デジタル機器のパスワードを解除し、パソコンやスマホの中身を確認する。
  • パソコンやスマホ内のアプリを確認する。
  • ブックマークされているサイトやメールを確認する。
  • クレジットカードや銀行口座の明細から取引内容を確認する。
  • デジタル機器のデータを取り出す専門業者への依頼も検討する。

このような方法でデジタル資産の情報を特定していくことになります。

そうして手がかりのあったネット銀行や、ネット証券などの問合せ窓口へ連絡して、手続きを進めましょう。

 

5,デジタル資産で家族を困らせないための生前対策

これまで触れてきたように、何も手がかりがない中で相続人がデジタル資産を見つけていくのは大変な作業になります。相続人がこのような大変な思いをすることがないように、生前に何らかの対策を講じておくことは、家族に対する思いやりでもあると思います。

具体的な対策を以下にまとめますのでご参考にされてください。

 

✅利用しているサービスの見直しと、不要なサービスは解約しておく。

当たり前といえば当たり前なのですが、利用サービスが少ないほど、解約手続にかける労力・時間が少なくて済みます。その結果、相続人が行う事務負担を減らすことができます。現在利用しているサービスを定期的に見直しつつ、使わないサービスは解約しておきましょう。

 

✅エンディングノートに記録しておく

エンディングノートとは、いざという時に備えて、財産や物についての情報や、想いを書き留めておくものです。これらを記録しておくことで、資産の中身や処分の仕方を家族に伝えることができます。具体的に、ネット口座、ネット証券口座、その他サービスのログインIDやパスワードなどを一覧表にまとめておくとよいでしょう。個人情報を記録しておくことに抵抗を感じる方は、エンディングノートとは別に記録して別に保管しておくなど、二段階認証的に管理しておいてもよいかもしれません。

 

✅デジタル資産を含めた遺言書を作成しておく

遺言書を作成しておくと、遺産分割協議を開く必要がなくなります。その遺言書の中にきちんとした形でデジタル資産も想定した内容を書いておく。そうすることで相続人としては相続手続きがかなり進めやすくなります。デジタル資産の一覧をまとめておくこととあわせて遺言書も活用するとよいでしょう。

 

✅死後事務委任契約を結びデジタル資産の処分も依頼しておく

死後事務委任契約というのは、亡くなったときに発生する多くの死後事務手続を信頼できる専門家などに依頼しておくという契約です。葬儀や各種行政手続のほか、こうしたデジタル資産について取り扱いについても契約しておくことで相続人の負担を軽減することができるはずです。

 

6,まとめ

デジタル資産は、不動産や動産などと違い目に見えないものであり、何か形として情報を残しておかない限り本人しか分からないものです。その分、相続においてはトラブルの原因になる可能性は高いといえるでしょう。遺されたご家族が困ることのないように、今できる対策をしっかりと検討して実行しておきましょう。

 

遺言など生前対策なら当事務所へご相談ください

当事務所は、京都市を中心に関西全域で、生前の相続対策の支援をしている行政書士事務所です。遺言書の作成や財産管理委任契約、任意後見契約、死後事務委任契約、尊厳死宣言書など様々な角度からご本人様やご家族様が安心できる人生を送って頂けるようなご提案をさせていただきます。公正証書遺言を作成されるケースですと、遺言者が公証役場へ足を運び内容の打合せをする必要がございます。当事務所ではお客様に変わり公証人との連絡調整を代行いたします。まずはご希望やお困りごとなど、お話しをじっくりと伺いたいと思います。お気軽にご相談ください。

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