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公正証書遺言の作成方法(作成当日編)

初めて公正証書による遺言書を作成しようと考えている方は、何をどのように進めてよいか分からないといった方も多くいらっしゃると思います。日常生活では公証役場という場所にそもそも行く機会がありませんので尚更そう感じます。

 

公正証書遺言を作成するにあたって、事前準備と作成当日に大きく分けて、前回の記事では「事前準備」についてご紹介いたしました。

今回は「作成当日」についてご案内したいと思います。

持ち物の確認と公証役場ではどんな流れで何をするのかを知っておけば、気持ちにゆとりも生まれますので最後までご覧いただければと思います。

 

目次

1,公証役場(京都公証人合同役場の場合)に持参するもの

公正証書による遺言書を作成する場合、公証人へ提出する書類は印鑑証明書や戸籍謄本など、さまざまなものがあります。

遺言書案の作成に必要な書類については、前回の記事「事前準備編」でご紹介しましたので今回は作成当日、公証役場へ持参する持ち物についてまずは確認しておきたいと思います。

 

公正証書遺言というのは、遺言者と公証人の間で内容の打合せや書類を事前に提出することで、遺言書の案文(あとは署名・押印すれば完成する最終的なもの)が作成日を迎える前の段階で出来上がっています。

したがって、作成日当日の流れはとてもシンプルですし、必要書類も基本的には打合せの時に提出済みなので、当日は本人確認に関する物だけを持参することになります。

 

当日の持ち物は以下3点です。

  • 実印・・・遺言書本人の実印です。事前に提出された印鑑証明書と相違がないかの確認し最後に遺言書原本に押印します。
  • 身分証・・・運転免許証やマイナンバーカードなど、官公署発行の顔写真付き証明書類。上記がない場合は公証人に事前に確認しておきましょう。
  • 現金(公証役場手数料)・・・遺言内容によりますが、公証人と打ち合わせをしている段階でいくらかかるか教えてもらえます

以上が当日の持ち物になります。

慌てることのないように、前の日には準備しておくと安心ですね。

 

※証人2名を知人にお願いしている場合は、認印を持参いただくようお願いしておきましょう。

※証人の手配を公証役場にお願いしている場合は別途費用が発生します。お支払のタイミングなど事前に確認しておくとよいです。

 

2,公証役場での流れ

続いて、公証役場での流れについてご紹介します。

※公証役場や公証人によって、多少順番や内容が異なる場合があります。

 

①公証役場へ行く

  • 事前予約していた時間の10分前には到着しておきましょう。
  • 電車の場合は地下鉄「御池」駅3-1番出口から東へ(河原町通り方面へ)徒歩1分です。
  • の場合は近隣のコインパーキングへ駐車して頂くことになります。地上のパーキングはスペースも狭く時間帯によっては満車の場合も多いので、「御池地下駐車場」が安心です。750台駐車可能な大パーキングです。
  • 役場は1階にローソンが入るビルです。エレベーターで5階まで上がってください。

②受け付け

  • 役場に入るとすぐ目の前に受付カウンターがあります。「○○時に遺言書作成を予約している○○です。担当公証人は○○さんです」と受付担当者にお伝えください。
  • 準備ができるまで、証人2名と一緒に待合スペースでお待ちください。
  • 準備が整い次第呼ばれますので、証人と共に担当公証人のブースまでお進みください。
  • ご家族などの付き添い人は同席することができませんので、そのまま待合スペースでお待ちください。

 

③本人確認

  • まず最初に公証人から大まかな流れなどの説明があります。
  • 本人確認として、お名前・生年月日・住所・職業を聞かれますのでお答えください。
  • 運転免許証などの身分証を公証人に見せてください。
  • マスクをしている場合は一旦はずしてください。

 

④遺言内容の確認

  • 確認の仕方は公証人によって様々です。

  ✓内容(誰に、何を、どの割合でなど)を質問されて答えるケース

  ✓主な内容を遺言者から公証人に伝える必要があるケース

  ✓事前に打ち合わせした案文内容を公証人が読み上げて確認するケース

  • いずれにしてもご自身の遺言ですので正確に回答できるよう確認しておいてください。

 

⑤出来上がった遺言書の閲覧・読み上げ

  • 証書を実際にご覧いただきながら、公証人が証書の全文を読み上げます。
  • 間違いなどないか改めて確認してください。

 

⑥署名・押印

  • 遺言者、証人の順に署名をしていただきます。
  • その後同じ順に押印していただきます。
  • 遺言者は実印、証人は認印を押印します。
  • 署名・押印は公正証書原本にのみ行います。

 

⑦支払い

  • 公証役場(公証役場が手配した証人がいれば証人それぞれにも)に現金で支払います。
  • 公証役場の手数料と証人の手数料は別になります。
  • 可能であればそれぞれにお釣りが出ないようにご準備頂けるとスムーズです。
  • 料金は財産の価額によりますが3万円~8万円くらいです。

 

⑧遺言公正証書の正本および謄本の受け取り

  • 公正証書遺言正本および謄本が手渡されます。
  • 原本、正本、謄本の意味は以下のようにされます
    (公証人から説明があります)

原本・・・持ち出しは出来ず、半永久的に公証役場に保管されます。

正本・・・原本の写しとして、原本と同じ効力があります。相続手続きに使用します。
謄本・・・原本の写しではありますが、正本ほどの効力はありません。

⑨手続きの完了

以上が公証役場での流れになります。

文字にすると盛り沢山のような感じがしますが、実際の手続きは30分程度になります。

 

3,公正証書遺言書の保管方法

公正証書による遺言書を作成すると、原本公証役場に半永久的に保管されます。

 

遺言者の生存中は遺言者本人でないと遺言書の内容について公証役場に問い合わせをしたとしても教えてもらうことはできないため、紛失はもちろん、偽造、変造もされることはありません。自筆証書遺言と異なる大きなメリットでもありますね。

 

原本は公証役場に保管されているので一安心ですが、正本と謄本については作成時に公証人から手渡しされますので、この2種類をどのように保管するかということが問題となります。

 

一般的には正本遺言執行者謄本遺言者本人が保管する場合が多いです。

 

そもそも遺言書をなぜ作成するかというと、財産の帰属に関して自分の意思を実現してもらうためです。そして遺言執行者というのは、その遺言内容を実現するために一切の権利義務を与えられていますのでその遺言執行者が相続手続きを実行するのに正本が必要となります。

 

ただし、遺言者が亡くなった事実を知らないと手続きのしようがありませんね。

遺言執行者=相続人である場合は別ですが、利害関係のない第三者を遺言執行者に指定しているケース(例えば、遺言書作成支援を受けた弁護士や司法書士、行政書士など)も少なくありませんので、その場合は下記内容を相続人へ伝えておきましょう。

  • 遺言執行者を相続人とは別に指定している旨執行者の連絡先情報
  • 自身が亡くなったらその執行者へ連絡すること

なお、公正証書遺言が作成されると、その情報は公証人連合会のオンラインに登録されます。

登録されると、相続人は、亡くなった人が公正証書遺言を作成しているかどうかを、相続が発生した後に公証役場で調べることができます(平成元年以降に作成された遺言が対象です)。

 

どの公証役場からでも遺言書の検索システムを利用できますので、この検索をすることで遺言公正証書の有無を確認できます。

 

4,まとめ

前回と今回で公正証書遺言を作成する方法について「事前準備編」と「作成当日編」に分けてご紹介してきました。

私が普段お世話になっている京都公証人合同役場で手続きをさせて頂いている実例をふまえて書いておりますが、役場によっては進め方などが若干異なるかもしれません。もし他地域で作成を検討をしておられるのであれば最寄りの公証役場か遺言書作成支援を行っている士業等の専門家へお問合せください。

 

最後までお読み下さり、ありがとうございました。

 

行政書士はやし行政法務事務所

代表行政書士 林 宏雄

 

日本行政書士会連合会(第17271844号)

京都府行政書士会会員(第2655号)

 

京都府向日市寺戸町寺山12-1(向日市役所から車で2分)

電話:075-555-0513

 


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行政書士をはじめ遺言書作成支援にかかわる士業は遺言者様と公証人の間に立って、確実でスムーズに公正証書遺言を完成させるための調整役になりますので、ご自身で手続きされるよりご負担はかなり軽減できます。

 

当事務所は、京都市を中心に関西全域で、公正証書による遺言書の作成支援を専門とする行政書士事務所になります。

 

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