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エンディングノートと遺言書の違い

「エンディングノート」という言葉を聞いたことがあるという方も多いと思いますが「遺言書」と何がどう違うのでしょうか。違いはあれど、いずれもあなたの人生あなたらしく、子供や周りの人たちの幸せにもつながるツールだと思います。それぞれの役割や書く内容をご紹介しますのでご参考になれば幸いです。

 

目次


1,エンディングノートにはどんな役割があるのか

エンディングノートは高齢化社会の中で終活に欠かせないツールとして、書店やインターネットにはさまざまなスタイルのものが並んでいます。

 

自治体やNPO、企業が作成しているもの、さらにはインターネット上では無料ダウンロードできるものなど様々です。

 

日本でこの「エンディングノート」という言葉が登場したのは1991年だそうですが、30年経った今でも世間で目にする耳にする機会が多いということは、それだけ多くの人が必要と感じているのだと思います。

 

言葉のニュアンスからどうしても人生の終末をイメージしてしまうところもありますが、私が思うエンディングノートの役割は、「自分自身や生き方の整理をすること、それを家族に知ってもらうこと」だと考えています。

 

私が所属しているNPO法人が主催している塾で、卒業を迎える最終プログラムとして、卒業論文の作成があります。丸一日かけてのパソコン作業となり、論文タイトルは「ハッピーエンドストーリー」とします。

 

そのストーリーには自分の過去・現在・未来を自分を主人公とするストーリーとして書き綴っていきます。

 

「過去」の部分は、これまでの人生の中で今の自分を形成するに至ったポイントとなる出来事を思い出し自分史としてまとめます。

 

「現在」ではこの塾で何を気づき、学び、そして実行してみたのか、その結果周りがどう変わったのか、その時自分はどう思ったのかなど、現在の姿を表現します。

 

そして「未来」では、○○したい、□□になりたい、△△な自分でありたいなど自分が本当に成し得たい未来を自由に具体的に想像しストーリーとして言葉にします。

 

論文の最後は「これが私のハッピーエンドストーリーです。」という言葉で結びます。ハッピーエンドという表現を使いますが、決して人生の終末という意味だけではなく、5年後、10年後、退職後の自分の姿など自由に描いて書くこともOKです。

 

ちょっと話がそれましたが、役割として考えたときに、エンディングノートも似ている部分があるなと感じています。

 

自分はこういう人間で、これまでの人生でこんなことがあり、今の状況はこうで、周りにはこんな方がいて私に対して良くしてもらって感謝している、これからこういうふうにしていきたいんだ、ということを人に知ってもらうためのツールとして「自分だけの自分にしか作れないオリジナルの1冊」としてまとめ、この1冊を見れば私が分かるというようなものができると素敵ですね。

 

タイトルも「エンディングノート」じゃなくてもよいかもしれませんね。

 

2,エンディングノートには何を書くのか

エンディングノートに決まった書式ルールは特にありません

書く内容は自由です。

 

ところが人間というのは面白いもので、「自由です、何でも書けます」と言われると逆に何を書いたらよいかわからなくなる・・・なんてこともあると思いますので、例えばこんな事を書いてみてはいかがでしょうかというものをご紹介します。あくまでご参考までに。

 

✅自分の基本情報

 

自分の基本情報として生年月日や本籍地、血液型、マイナンバーなどの情報も書いておきましょう。

好きな食べ物や趣味、得意なことなども改めて書いてみると、新たな発見があるかもしれません。

基本情報とはいえ、きちんと記録しておかないと、例え家族であっても案外わからないことが多いものです。

  • 生年月日
  • 本籍地
  • 血液型
  • マイナンバー
  • 家族構成、家系図
  • 運転免許証番号
  • 健康保険証番号
  • 好きな食べ物
  • 趣味
  • 得意なこと
  • 性格
  • 信念

 

✅自分史

 

誕生から今までの自分史、これまでの人生の中でのターニングポイントなどを記録しておくとよいです。作成者がまだお若い方であれば、それまでの人生の記録で十分と思います。

人は少なからず人との関わり合いで時を過ごしますので交友関係も改めて振り返ってみると色々な思いが出てくることでしょう。

これまでの人生を客観的に振り返ってみると自身の考え方、価値観などを改めて整理することができ、これから先の人生を生きる上でのヒントや方向性なども見えてくるかもしれません。

  • 自分史
  • 履歴書
  • 学歴、職歴、資格
  • 人生のターニングポイント
  • 交友関係

 

✅財産の記録

 

もしもの時に家族が困らないように最低限の財産記録は残しておきましょう。

通帳・印鑑、年金や保険の証書関係、不動産関係など。不動産については、市役所で固定資産評価証明書や、法務局で登記事項証明書を取得して一緒に挟んでおくと良いです。

証書や貴重品などは家族であっても知らないケースがほとんどなので保管場所などを書いておけば家族が対応しやすくなります。

財産はプラスのものとは限りません。マイナスの財産、つまり借金などもあれば正直に書いておきましょう。

  • 預貯金
  • 貸金庫の有無
  • 現金
  • 不動産
  • 有価証券
  • 貴金属
  • 美術品
  • 借金など

 

✅ペットについて

 

特にひとり暮らしの場合は、残されたペットを引き取って、ちゃんと世話をしてくれる人を決めておかないと困ったことになります。

性格や好き嫌い、病歴なども記入しておくと親切です。

 

 

✅デジタル情報などプライベートなものについて

 

InstagramやFacebook、lineといったSNSなどのデジタル情報はIDやパスワードがわからないとずっと残ったままになってしまいます。

アドレスやパスワード、退会手続きなどの一覧を作って記録しておきましょう。

また、残された人が処分を迷うものや、あまり人に知られたくないものなでについても、どうしてほしいのか希望や方法を書いておきましょう。

 

✅医療・介護について

 

末期の状態になった時、家族は延命措置などの決断を迫られることになります。

精神的負担を減らすためにも自己判断ができなくなった時の対応方法を決めておくことは大切です。

また認知症などで意思疎通ができなくなった場合も考えて、介護のことや費用捻出方法、アレルギーや持病、常備薬についても記入しておきましょう。

他にも気になる事、してほしい事や、避けてほしい事なども書いておきましょう。

 

✅葬儀・お墓について

 

いよいよフィナーレを迎える時、家族は短時間のうちに葬儀等で色々と判断しなければならない事を多く抱えてしまいます。その負担を少しでも軽くして、あなたらしいフィナーレを迎えるためにも、あなたの希望をしっかりと伝えておきましょう。

  • 実施してほしいかどうか
  • 喪主、施主
  • 生前予約、生前契約の有無
  • 葬儀の形式
  • 戒名、法名
  • 葬儀費用など

 

✅相続・遺言について

 

遺された家族同士でトラブルにならないよう法的な効力を持つ意思表示は遺言書になります。

もし遺言書をのこしているのであればその種類、保管場所を記しておきましょう。

  • 遺言の種類(公正証書遺言、自筆証書遺言、秘密証書遺言)
  • 保管場所

 

✅連絡先

 

もしもの時に連絡してほしい親族や友人知人の連絡先を記入しましょう。

全員でなくても、その人に連絡すれば他の人に連絡してくれそうな人を書いておくとよいです。

 

✅大切な人達へのメッセージ

 

家族や友人、知人などへあなたの思いをメッセージにしておきましょう。

面と向かって話せないことも文章であれば書けることもあるのではないでしょうか。

大切な人達とのエピソードや写真なども一緒に貼っておくと視覚的にも楽しいですね。

共に乗り越えた苦労話しなども良いと思います。

 

✅その他

エンディングノート全般的に言えることですが、いつでも何度でも書き直しできますので、その時に感じた事を率直に気軽に記録しておくのがポイントです。

一気に仕上げようとすると途中で作成することが面倒になってきてほったらかしになりますので、少しずつ楽しんで進めましょう。

1回作成したからといってそこで完成ではありません。むしろ作成した後に育てていくつもりで定期的に情報のアップデートをしておきましょう。

 

3,遺言書にはどんな役割があるのか

遺言書とは、遺言者(被相続人)が自分が亡くなった後に相続財産(遺産)を、誰にどれだけ分配するかを記載した文書のことです。

 

遺言書は民法の規定に従って正しく作成することで、遺言者(被相続人)の「最終的な意思表示」として強力な法的効力を持ちます。その役割は主に次の2つです。

 

✅相続人が遺産の扱いについて迷わないようにするため

 

財産をどのように分配するかをあらかじめ決めておけば、相続人などが協議などを行う手間が省け、不動産の名義変更などの相続手続きがスムーズに実行することができます。

 

✅遺産トラブルを防ぐため

 

遺族の中でも、特に相続権を持つ相続人同士が財産を巡って権利を主張し合い、トラブルに発展するような事態を防ぐことができます。実際に遺族が相続について揉め、血縁者同士で対立してしまうことはよくあることです。これを防ぐためにも遺言書は有効です。

 

4,遺言書には何を書くのか

遺言書で残すことができるのは相続財産のことだけではありません。

その内容は法律で定められていますが、代表的なものを3つご紹介します。

 

✅財産分与について

預貯金、不動産、株式などの相続人を指定することができます。

誰に何を相続させるかという遺産分割方法、各相続人がどれだけ受け取るようにするかという相続分の指定などができます。

 

✅遺言執行者の指定

確実に遺言が実行できるよう、遺言執行者を指定することができます。

遺言執行者とは、ご自身が亡くなった後に遺言書の内容を実現するためにその権利を与えられた人、シンプルに言うと、遺言内容を実現してくれる人のことです。

 

✅祭祀承継者(さいししょうけいしゃ)の指定

祭祀承継者とは、系譜、祭具及び墳墓といった祭祀財産や遺骨を管理し、祖先の祭祀を主宰すべき人のことです。

簡単に言うと、祭祀承継者とは、一族のお墓等を引き継いで管理する人のことだと考えればわかりやすいかもしれません。

具体的には、次のような事柄を行います。

  • お墓の管理
  • 仏壇の管理
  • 檀家としてのお寺との付き合い、管理費の支払い、お布施、寄付
  • 法要の主宰

(過去記事「遺言できる事項について」参照)

 

5,エンディングノートと遺言書の違い

遺言書とエンディングノートとの大きな違いは、法的な効力があるかどうかです。

 

前述したとおり、遺言は形式を満たすと法的な効力があります。

 

エンディングノートは、法的な効力はありません。そのためエンディングノートに遺産分割の希望を書いていたとしても、本人の意思を伝えることはできても、その通りに実行する義務は発生しません。

 

しかし、エンディングノートでは、葬儀やお墓に関する希望、自分が介護状態や延命が必要になったときにどう対処してほしいかなどを家族に伝えることができます。

 

「遺言書」は資産承継手続きを円滑に実現するために、「エンディングノート」は歩んできた道を整理すると共にあなた自身や周りの人達への“想い”を伝えるツールとして使いわけ或いは並行して作成してもいいでしょう。

 

6,まとめ

もしものときに備えて、エンディングノートにしても遺言書にしても、早いうちから準備しておくと安心です。

エンディングノートに関して言えば、自分史を作るつもりで楽しんで作り始めるとよいと思います。

一気に作ってしまわなければならないといったような義務感は全く必要ありません。内容も自由に気楽に取り組んでください。

 

もし書くことが苦手であればあなたの思いをヒアリングし文書に起こしたり、遺言書も作ってみようかなど、お力になれますのでよろしければご連絡ください。

 

最後までお読みくださり、ありがとうございました。


当事務所は、京都府向日市、長岡京市を中心に公正証書による遺言書の作成支援を専門とする行政書士事務所になります。将来の不安を安心に変えるお手伝いを精一杯させていただきます。遺言に関心がある今が一番良いタイミングかと思いますので、お気軽にお問合せ頂ければ幸いです。その他相続や公正証書作成に関しましても、初回のご相談(対面、オンラインいずれも可)は無料で賜ります。

 

行政書士はやし行政法務事務所

代表行政書士 林 宏雄

 

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