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遺産相続と戸籍

目次

1.人が亡くなったら戸籍はどうなるか

人がなくなると、その亡くなった地の市町村役場に死亡届を出さなければいけません。届出義務のある方は「同居の親族」「その他の同居者」「家主さんなど」で、亡くなったことを知った日から7日以内が届出期限です。

 

死亡届が受理されますと、亡くなった方は戸籍から除籍されます。

仮に亡くなった方が戸籍の筆頭者であった場合でも、その戸籍に在籍者がいる以上は亡くなった方がそのまま筆頭者であり続けます。しかし在籍者全員が除籍されてしまうと、その戸籍自体が除籍され(消除といいます)、戸籍簿から除籍簿へと移されることになります。

 

2.誰が相続人になりうるか

ここで相続における基本知識になりますが、誰が相続人になるかという点を整理しておきます。

 

まず配偶者は常に相続人になります。次に、亡くなった方(被相続人)に子どもがいれば子どもが配偶者とともに相続人になります。子どもがいないときは直系尊属(親、祖父母、曽祖父母など)が、子どもも直系尊属もいないときは兄弟姉妹が、いずれも配偶者とともに相続人になります。まとめると、

  1. 順位の相続人・・・配偶者+子ども
  2. 順位の相続人・・・配偶者+直系尊属
  3. 順位の相続人・・・配偶者+兄弟姉妹

ということになります。いずれの場合も配偶者がいなければ、それぞれの場合に子ども、直系尊属、兄弟姉妹だけが相続人になります。逆に、子どもも直系尊属も兄弟姉妹もいなければ、配偶者だけが相続人になります。

※相続人が誰もいなければ最終的には遺産は国庫に帰属する形になりますがそれはまた別の機会に触れたいと思います

 

上記のような順序で誰が相続人になるか、それを確定させるために被相続人を中心とした戸籍が必要になるということですね。

 

3.遺産相続に必要な戸籍

誰が相続人になるかは様々なケースがありますが、第1順位の相続人である生存配偶者と子どもが相続人の場合を例に説明したいと思います。(第3順位の相続人である場合はまた別の機会に触れたいと思います)

 

まず最初に必要になるのは、被相続人が亡くなり死亡届が受理された直後の戸籍謄本(全部事項証明書)が必要になります。その戸籍には配偶者が在籍しているはずです。この時点で在籍している配偶者のみが最終相続人として確定するかというと、まだ確定はできません。

これまでの記事でも述べたように、戸籍は戸籍法の改正により新基準に改められます(改製といいます)。最も新しい基準は平成6年の法改正によるものです。(「戸籍の取り方」参照)

したがって、現在の戸籍謄本(全部事項証明書)では改製前の身分事項は分からないため、もう一つさかのぼった「改製原戸籍謄本」が必要になります。

 

その改製原戸籍には、被相続人が結婚をしてから改製されるまでの事項が記載されていますので、子どもが記載されている可能性があります。つまり、この改製原戸籍によってその子どもも相続人であることが分かります。現在の戸籍謄本に子どもが記載されていないことがありますが、どういう場合かというと、例えばその子どもが結婚をして親の戸籍から出て新戸籍を編製し、その後戸籍が改製された場合、改製後の戸籍には移記されないため、現在の戸籍謄本には記載されていないということです。改製原戸籍で子どもが登場した、これで相続人が確定できたかというと、まだ確定できません。さらにそれ以前の「除籍謄本」も必要です。

 

この除籍謄本は、被相続人が生まれてから結婚するまでの戸籍です。この時点で相続人になりえる人が上記の他にいなければ、これまでに確認できた配偶者と子どもが相続人に確定ということになります。ただ可能性としてゼロではないのが、例えば被相続人が結婚前に認知していた場合です。被相続人が婚姻外の子として認知している場合、その事実はこの除籍謄本でしか確認できません。実際にこのようなケースはあります。その場合、認知されている子も相続人となります。

 

以上のような流れから、相続人を確定するためには「出生から死亡までの連続した戸籍」が必要ということになります。

 

実務的な話しになりますが、出生から死亡までの本籍が同じ市町村内であれば、その市町村役場で全ての連続した戸籍を一気に取得することが可能です。問題は新戸籍の編製や転籍などで異なった市町村に本籍を移した場合です。戸籍はその市町村内に記録のある戸籍しか取得できませんので、上記の場合はその異なる役場にも行きそこに記録されている戸籍を改めて取得する必要があります。

普段戸籍を見慣れないなかで、亡くなった方の相続人を確定させる作業というものは、なかなかハードルが高いといえるでしょう。

 

身近な方が亡くなった後にこのような手続きを行うのは負担が大きいと思いますので、相続手続きを専門としている士業に依頼してしまうというのも選択肢の一つと私は思います。

もちろん当事務所でも賜ります。

 

さて、戸籍シリーズとして4回に分けて発信させて頂きましたがいかがでしたでしょうか。

日常で接する機会の少ない戸籍という話題ですが、人生の節目には必ず関わってくるものです。これらの記事が誰かのお役に立てば幸いです。

最後までお読みくださりありがとうございました。

 

特定行政書士 林 宏雄


戸籍関係の記事一覧を下記にまとめておきますのでご参考にして頂ければと思います。

 

「戸籍とはどういうものか」

  1. 戸籍とはどういうものか
  2. 戸籍には何が書いてあるのか
  3. 謄本と抄本
  4. 戸籍の歴史

「戸籍はどのように作られるか」

  1. 戸籍のつくり方
  2. 転籍と分籍
  3. 結婚と離婚、戸籍はどうなるか

「戸籍の取り方」

  1. 戸籍と除籍
  2. 改製原戸籍とは
  3. 戸籍の附票とは
  4. 請求方法

「遺産相続と戸籍」

  1. 人が亡くなったら戸籍はどうなるか
  2. 誰が相続人になりうるか
  3. 遺産相続に必要な戸籍

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